メラメラへらへら

アクセスカウンタ

zoom RSS 『かみひとえ』

<<   作成日時 : 2009/12/17 01:45   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 4

 あるクリスマスの日、サンタのおじさんは一軒の家へと入りました。

 眠っている少年を見て微笑んでから、静かに枕もとの大きな靴下に、サンタはプレゼントをそっと忍ばせます。

 起こさないようにそっと帰ろうとしたときです、少年がサンタに声をかけたのです。

「サンタのおじさんですね?」

 サンタは驚きました。

 自然と魔法を身にまとう自分が、子供に気がつかれるなどなんとも珍しいことです。

「いかにも」

「お忙しいところすいません。ぼくは質問があるのです、ちょっと聞いてくれませんか」

 サンタはちょっとの間をおいてから、答えました。

「あまり時間がないのだが、子供の頼みとあらば」

「おじさんは知っているとは思いますが、ぼくは悪魔の子です。なぜぼくにも毎年プレゼントを置いていくのですか?」

「ははは、私はどんな子供にも平等でな。たとえ悪魔の子とて差別はせんのだ」

「そうですか。ですが、ぼくは大人になったらサンタを糾弾し、攻撃し、侮辱し、妨害するかもしれません。それでもいいのですか」

「よくはない。だが、いくら悪魔の子だとて、仮にも人間として生れてきたのなら、万が一にも正しい道に戻ることがあるかも知れぬ。その可能性を否定してまでそれを差別をしてよい理由としてもいいのであろうか」

「なるほど。それはすばらしい考えです。さすがサンタのおじさんです。古来からただの一人として堕天してから改心し天界に戻った悪魔はいないというのに」

「なあに、たとえおぬしが大人になって私を妨害しても、そんなことに負ける私ではないぞ」

「すごいな。ぼくも大人になったらせっせと悪意のプレゼントを世界の子供たちへ配る仕事をしようかな」

「そんなことをしてみろ、わたしはサンタの誇りをかけてでも、あらゆる手段で悪魔の所業を糾弾する」

 悪魔の子は首をかしげました。

「それはぼくのやろうとすることと何がちがうのですか」

「善と悪は違う」

「そうですか」

「愛の手で、子供たちを善に導くのが私の仕事」

「それでは、あらゆる子供たちが善に導かれたら、サンタさんは失職するのですか」

「……くだらぬことを考えるのではなない。とにかくおぬしが改心するのを私は望んでいる」

「人間は悪に染まりやすい生き物です。同じことをしたら圧倒的にぼくが有利です。ぼくもサンタの妨害と糾弾には負けません。ハンデが欲しいですか、サンタのおじさん」

「ふん、威勢がいいの。ハンデなどいらんよ。わたしは子供たちを信じている。競争でもするかね? 悪魔の子よ」

「競争かぁ。でも、ぼく運動会のかけっこでまだ一番になったことがないんだよな」

「プレゼントをみてみなさい」

 靴下の中には、真新しい運動靴がはいっていました。

「ありがとう、サンタのおじさん。ぼく頑張ります。もしも、ぼくが悪のサンタになった暁には、ぼくと競争してください」

 サンタはため息をついて、少し考えてから答えました。

「よかろう。競争じゃな」

「平等にね」

「ああ、平等に」

「メリークリスマス!」

「メリークリスマス!」








------------------------------
まだ暫定です。次のが書けたら次のが短編競作出品用です。

曲は、「きよしこの夜」かな。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
「かみひとえ」というタイトルが、わざとひらがなでしょうか? 紙一重? 神とかけてるの? 深い感じがしました。
そして「悪意のプレゼントを子供たちにくばる」……うーん。
なにかのオモチャ(有害物質が使われている)
毛皮のマフラー(動物を殺して作った)
目が悪くなることが確実なゲーム機
とか。そんなのだったらどうでしょう。一見、悪意には見えないの。
それで本物のサンタの、自然派木製おもちゃとかより喜ばれたり……。
失礼しました。
七花
2009/12/18 02:00
>七花さん。
遅レス失礼。
つまりは…はたしてサンタのしていることは正しいのかってやつです。
うーん、考えてみたら、サンタが出てる以外は、はてしなくクリスマス向きじゃねー、めんどくせぇ話だなぁ。疲れてるな。

こちらこそ失礼しました。
ホムラ
2009/12/21 18:13
遅ればせながら、メリークリスマス!
大人になると、危険な香りのする小説が読みたくて仕方ありません。悪のサンタに配ってもらいま・・・子供にしか配らないので?
大人が相手だと、一部で需要があったりするかも。
アッキー
2009/12/26 00:04
>アッキーさん。
メリークリスマスが光速で過ぎてしまった。
時の流れはおそろしや。
クリスマスがあけましておめでとう。

危険な香りの小説なら、僕も読みたい。
狂気すれすれのやつを。
ホムラ
2009/12/29 01:16

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
『かみひとえ』 メラメラへらへら/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる